故障予兆検知システム
熱処理炉の突然の故障は生産計画に大きな影響を与えます。
IoT・機械学習・AIの技術を用いて設備の状態を常時監視・分析することで、故障の予兆を事前に捉えて未然防止することが可能となります。
当社では、お客様に安全で安定した設備の稼働と、最高の熱処理品質を提供できるよう、日々、予兆検知の技術開発に取り組んでいます。
「予防保全」から「予兆保全」へ
従来の「予防保全」では、センサと閾値による管理で装置の正常度を判定していました。しかし、異常を検知したとしても、故障の顕在化に至るまでわずかな時間しか確保することができず、有効な手立てをとれない場合が多くありました。
その結果、品質不良による処理品のロスや、不意の炉停によって生産計画に大きな影響が発生していました。
ジェイテクトサーモシステムが取り組む「予兆保全」では、IoTやデータ分析などの最新のデジタル技術に、技術者の知見を組み合わせることで、異常が発生するよりも以前の、故障の兆候をいち早くとらえることを目指しています。
予兆検知技術によって、装置の安全な稼働、処理品質の安定化、計画的な装置メンテナンスが実現可能となります。
J-Predis®の仕組み
お客様事例
2億件超(※1)のビッグデータに基づく予兆検知技術の構築
※1 2023年11月末現在
業界でいち早く装置のIoT化を実現したアドバンテージ
ジェイテクトサーモシステムは、金属工業加熱業界では最も早くに、熱処理装置のIoT化の実現に成功し(※2)、2018年のIoTシステム稼働以降、クラウド上の専用データベースに蓄積されてきた時系列装置データはすでに、8社10数台の装置で、総計2億レコードを超えています。
予兆検知に必要とされるデータは多岐にわたります。温度、電力、雰囲気、稼働状況、振動など、様々なセンサや機器をソースとする、これらの膨大な時系列データを、センシングから通信、セキュリティ対策まで、一貫して自社で開発を行い、セキュアな収集システムを構築してきました。
リアルタイムに増加し続けるビッグデータをアドバンテージとして最大限に活用することで、お客様の装置の安定稼働のためのモデル構築と自動分析システムの開発を進めています。
(※2 日刊工業新聞での発表に基づく)
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- case データ分析事例(連続浸炭炉/メインプッシャ)
- 2022年、A社(仮名)様工場にて稼働中の連続浸炭炉において、メインプッシャの異常を示すアラームが発生しました。弊社のサービスマンがすぐさま現地に駆け付け、点検・調査を行いましたが、現地での調査では真因の特定にまでは至ることができませんでした。
しかし、この連続浸炭炉では、すでにJ-Predis®を導入いただいており、過去の装置状態に関するデータがクラウドに保存されていたため、現地調査の後に分析担当者が長期的なデータを分析することができました。
分析の結果、「プッシャの動作」・「モータの負荷」・「ワーク検知」が時系列的に特定の条件で組み合わさった際に、アラームが発報される状態になることが判明しました。
この分析結果と実際のデータに基づき、お客様に説明を行い、高い評価をいただきました。併せて、装置プログラムの改良も行ったことでより精度の高い状態判定が可能となりました。
仕様
対象設備 | 当社熱処理炉 <Smart FLEC® 浸炭炉・バッチ炉・連続炉等>(新規炉、既設炉) |
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監視項目 | O2センサ、ファン軸受、扉、ヒータ、ローラ、プッシャ(対象設備に応じて相談 ※1) |
価格 | 当社営業窓口にご相談ください |
サービス内容 | 当社開発のアルゴリズムによる故障予兆検知に基づく技術サポート 定期診断レポートの配信 専用ウェブサイトによる稼働状態の監視 |
前提条件 | 当サービスを利用するにはあらかじめ利用規約等に同意いただく必要がございます |
工事期間 | 2~3日程度(安全のため工事中は炉の停止をお願いします) |
対象地域 | 日本国内に限る ※2 |
セキュリティ | IoTゲートウェイはお客様構内のLANと分離し、また、外部からの通信をファイアウォールによって遮断することで第三者の侵入を防いでいます。 ウェブサイトは、専門業者による脆弱性診断を実施済み ※3 |
- ※1今後、監視項目が追加されることがあります。また、監視項目とデータ収集項目は異なる場合があります。
- ※2海外への設置をご検討のお客様はご相談ください
- ※3経済産業省策定『情報セキュリティマネジメントガイドライン』に準拠した項目